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= 2016年度 =
▼第42回日本保健医療社会学会大会参加報告
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第42回日本保健医療社会学会大会参加報告 2016年度

特定非営利活動法人りょうちゃんず
理事長 藤原良次

 去る、2016年5月14日(土)〜15日(日)に追手門学院大学で開かれた上記学会に参加、演題発表いたしましたので、報告いたします。
 この学会では、薬害のテーマがあり、サリドマイドの増山ゆかり氏もパネリストとして参加していました。しかし、私は、薬害全体にふれるのではなく、薬害エイズについて、報告したいと思います。
 まず、社会福祉法人はばたき福祉事業団訪問看護師による訪問相談事業については「薬害の背景がわかっている人なので安心」「病院で話せないことが話せる」等の利用者からの好評価の発表があった。しかしながら、訪問看護師がどのような研修を受け、どのような相談まで対処可能かどうかとの真題が残っていることも指摘されました。
 大阪原告団代表花井十伍氏の教育セッションはよくまとめられていましたが、学会が、これをどのように使うのかに疑問が残りました。本人らしさや患者らしさをもう少し出して欲しいと個人的には思いますが、彼のスタイルなので、批判するつもりはありません。  自分達の発表は、患者聞き取り、テーマは心理サポートですが、医療者への聞き取りを行っていないので、少し物足りなさを感じました。内容で特筆できるのは、血友病HIV感染患者は、医師との関係は良好なので、医師の影響が非常に強いとの結果が出ています。
 昨今薬害HIV問題で「輸入血液製剤があの時止められなかったのでないか。結果、医師は止められなかった。」ということが血友病の治療歴史から語られる報告があります。「裁判では真相が解明されない」との報告もあります。これは、誰かを犯人にするのではなく、薬害が起こる構造がエイズの時もあったという結論であろうと思います。このような研究結果も正しいのであろうと思いますが、HIVが混入された製剤でHIVに感染し、回収が遅れたために蔓延し、結果、益々生きにくくなった人々や、大切な人の死を見守らなければならなかった人もいるのも事実であります。それを思うとせめて、言いたい時間違っていても、恨み辛身でも言える場を作ってあげることは大事なことだと思います。私たちの研究がその一助になればいいと心より願います。


第42回日本保健医療社会学会発表より




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特定非営利活動法人りょうちゃんず
早坂典生

 去る、2016年5月14日(土)〜15日(日)に行われた第42回日本保健医療社会学会に参加しましたので報告いたします。
 この学会のテーマは「問題経験のナラティブをきく」であり、問題経験は「病の経験」で薬害問題がテーマでした。
 今回の学会では、藤原理事長が、自ら研究代表を務めている「血液製剤由来HIV感染者の心理的支援方法の検討」について発表しました。これまで行ってきた21例の血友病HIV感染患者のインタビュー調査の結果から、心理専門カウンセリングやピアカウンセリングの活用や、医療者との関係、恋愛・結婚や挙児、支援者との関わり等を報告しました。詳細は「HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究」(研究代表者/国立病院機構大阪医療センター白阪琢磨)の研究報告書で報告しますが、薬害エイズの和解から20年(実際のHIV感染からは約30年)経過し、これまで以上に複雑になっている治療に加えて、医療だけでは解決できない様々な支援が必要になっていまので、この研究を通じて得た患者たちの語りや思いを、心理専門家や様々な職種の人たちに伝え、関心を持って一緒に取り組んでいきたいと思っています。できれば、会場にもっと多くの人に参加してもらいたかったです。
 また、教育セッションでは大阪原告団の花井十伍氏が「薬害エイズの教訓から考える」と題した教育講演がありました。薬害エイズの構造や当時の状況、薬害に対する考え方について発表がありました。ある研究調査では、誰かの責任を明確にするだけでは原因追及に繋がらないことや裁判だけでは原因究明に限界があるなど分析がされていました。今、冷静に考えれば、そういう考え方もあるのだなと思いました。しかし、私が薬害エイズ裁判に参加した頃は、国や企業への怒りも大きく、このまま生きられるのか、いつ死ぬのかわからないという思いで参加していましたので、分析とは別にそれは自分の思いとして大切に残していきたいと思います。また、インタビュー調査でも、他の患者たちも医療者等へ不満を語ることも少なくなっており、自分に折り合いをつけながら暮らしている様子ですが、本来しなくてもよかった体験や思いを薬害エイズによって受けたことは、決して忘れてはいけないと思いました。  いずれにしろ、薬害をテーマにしたこのような学会に参加する機会があったことに感謝いたします。






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