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活動報告


= 2009年度 =
▼薬害エイズ裁判和解14周年記念集会参加報告
▼平成21年度スピーカー研修(動機・スキル編)参加報告
▼平成21年度「NGO指導者」研修会参加報告
▼特定非営利活動法人りょうちゃんず 設立記念集会ご報告と参加御礼
▼第23回日本エイズ学会学術集会参加報告
▼財団法人エイズ予防財団「HIV検査相談」研修会(応用編)参加報告
▼2014年度 ▼2011年度                              
▼2010年度 ▽2009年度 ▼2008年度 ▼2007年度 ▼2006年度 ▼2005年度 ▼2004年度


薬害エイズ裁判和解14周年記念集会参加報告

相談員 りょうさん

去る平成22年3月27日に大阪国際会議場で行われた薬害エイズ裁判和解14周年記念集会に参加したので報告いたします。
今回大阪で、初めての開催となった和解集会には、厚生労働省から医薬食品局高井康行局長、家西悟議員、川田龍平議員、独立行政法人大阪医療センター白阪琢磨先生をはじめ、大阪、東京の遺族原告患者原告、弁護団、関西方面で医療や看護に携わった方々や、日頃、大阪HIV薬害訴訟団への協力を頂いている関係者等、全国から100名ほどの参加者がありました。
これまでに亡くなった644名の方々に対して黙祷と献花、長妻昭厚生労働大臣のメッセージを代読、来賓挨拶、これまでの活動報告、長岡京室内アンサンブルのミニ・コンサート等の企画、亡くなったかたやメモリアルキルト、お花のディスプレイ、関係者の集会の成功を願う気持ちが感じられるものでした。そのなかで、MGJ(メモリアルキルト・ジャパン)さんの、イニシャル・キルトとスヌーピーキルトが薬害被害者のキルトと一緒にディスプレイ(広島県ヘモフィリア友の会ではキルトに人格を持たせて参加)されていました。違和感がありませんでした。イニシャル・キルトとスヌーピーキルトについては以前、根岸クリニックの根岸先生から出来た経緯を聞いたことがあったので、特に、それを感じました。
参加しながら、当時を振り返ってみますと、1996年2月、議員めぐりをして薬害被害の実状を訴えたこと、当時の菅直人厚生大臣の謝罪会見に立ち会って泣いたことを思い出しました。あれから、14年、医療が進み、薬害被害者への理解が進み、それに、一役買うことができたことは、非常に嬉しいことですが、自分自身の整理の中では、解決していないことが多いなと思いました。昨日(4/2)、叔父のビデオを見てまして、「誰にも言わないものを自分に背負う覚悟」を持ち続けることの難しさを、死して尚、教えていただきましたが、私も持っている「誰にも言わずに背負っているもの」を持ち続けようと思いました。
今後も、特定非営利活動法人りょうちゃんずは、全てのHIV問題からは逃げません。しかし、それは、自らが何かをしようとする人に対してであり、甘えてくる人は、一度だけは助けます。このスタンスで、役員、事務局一同やりぬいていきますので、皆様の厚い応援とご支援を賜りたいと存じます。

☆☆☆☆☆

相談員 はやっち

去る平成22年3月27日に大阪国際会議場で行われた薬害エイズ裁判和解14周年記念集会に参加したので報告します。
今回の和解集会は、初めて大阪での開催となり、全国から100名ほどの参加者がありました。大阪原告団の花井十伍代表の挨拶に始まり、これまでに亡くなった644名の方々に対して、黙祷と献花を行いました。また、厚生労働省から医薬食品局高井康行局長が参加され、長妻昭厚生労働大臣のメッセージを代読し、同じあやまちを繰り返すことなく再発防止や国としてHIV対策にこれからも取り組んでいくことを表明されました。さらに、国政の場で活躍されている家西悟議員、川田龍平議員からの挨拶と、ひき続いて薬害エイズの歴史の振り返り、原告からのメッセージの朗読、長岡京室内アンサンブルのミニコンサートがあり、大阪・東京両弁護団を代表して山西美明弁護士、清水洋二弁護士からの挨拶と、東京原告団佐々木代表の挨拶をもって閉会となりました。
1996年の3月29日、国・製薬企業と和解が成立してから、14年が経過しました。和解当時には、すでに500名近くの方が亡くなっており、和解以降も150名近くが亡くなっています。当時の私は、いち原告として訴訟に参加しており、いつか発症するかもしれない、いつまで生きられるかわからないというあきらめと、先の人生どうなるかわからないという開き直りの気持ちに揺れながら、すがるような気持ちで訴訟に参加したことを憶えています。私にとっては、一番辛い時期だったかもしれません。その後、多くの皆さんの支援によって、和解が成立し、医療体制の整備や、治療薬の早期導入、身体障害者認定の獲得など、一定の成果があり、さらにはNPO法人りょうちゃんずの活動を通じた人との出会いによって、一歩前進できたからこそ、今の自分があると思っています。
最近、性感染者の方からも、血友病の皆さんのお陰で、いい治療や社会保障が受けられることに感謝していますという声を聞くことがありましたが、実際に今の体制があるのも、多くの先輩たちや仲間の犠牲の上に成り立っていることを私自身忘れることなく、感謝の気持ちをもって活動していかなければならないと改めて思いました。
今回、大阪で開催したからこそ、久々にお会いすることができた方もいて、懐かしくもうれしくも思いました。また再会できるように体調を維持しながら、これから自分自身がどう生きていくのかを真剣に考えたいと思いました。




平成21年度スピーカー研修(動機・スキル編)参加報告

はやっち

去る平成22年3月21日〜22日に行われた日本HIV陽性者ネットワークジャンププラス主催のスピーカー研修(動機・スキル編)にファシリテーターとして参加したので、報告します。

これまでもジャンププラスでは、HIV陽性者が当事者の視点で等身大の語りを提供することにより「HIVが他人事ではなく、身近な問題であること」を社会に認知してもらうことを目的に、HIV陽性者スピーカーの派遣事業を行っています。その一環としてこの研修会に、全国から10名のHIV陽性者が参加しました。
参加者の皆さんは、HIV陽性者であるという共通点はありますが、一人ひとりに違う歴史があり、それぞれの思いを胸に参加している様子でした。
NPO法人りょうちゃんずは、この研修プログラムの作成時から、参加した経緯があり、これまでのファシリテーター経験もありましたので、引き受けさせていただきました。個人的には、当日どのような方が参加されるのか、緊張感と楽しみという気持ちで参加しました。最初は、少し硬い表情に見えましたが、セッションを通じて少しづつ打ち解け、幸いにして、皆さん協力的にワークに参加していただき、作業をすすめることができました。
2日間の日程は、とても内容が盛りだくさんとなっており、スピーカーをする上での動機づけを確認する作業、スピーカーに必要な要素を取り出す作業、依頼先によってはスピーカーが話したいことと、依頼先が求める内容が必ずしも一致しないことがあるといった様々な場面を想定した作業や、具体的に依頼先の事例を交えて話を組み立る作業等、スピーカーとして必要な動きを網羅しています。また、話し手としての取り組みだけでなく、聞き手として傾聴と質疑応答というセッションがあり、2名のHIV陽性者スピーカーの講演がありました。聞き手を体験できることで、聞き手を意識したスピーカーの動きや態度、反応を体験できました。2名のうち、おひとりの方は、過去の経験談から自分のHIVへのい向き合い方、実際にスピーカー活動での具体的内容を話されました。もう1名は、当方から、りょうさんが講演し、血友病や薬害の体験や、HIVのおかれている現状とこれからの活動、参加者へのアドバイスなど、先輩スピーカーとして講演しました。体験談に感激したり、立ち居振る舞いを参考に、翌日のスピーカーの要素や、話しの組み立て、ショートスピーチに役立てるなど、充実した時間になりました。
ワークの最後であるショートスピーチでは、参加者のほとんどが未経験にも関わらず、限られた時間の中で、自分の言葉を選びながら、それぞれの経験や思いを話してもらいました。過去に参加した自分と比べてみても、参加者の皆さんはしっかりしたものを持って、表現されていると感じました。伝えたい思いや、人に伝える努力の大切さを、今回の研修を通じて、改めて確認できました。この中から、一人でも多くの方がスピーカーを経験できればよいと思います。
私は、既にNPO法人りょうちゃんずの活動では、HIV陽性者として生きやすい世の中を目指し、これまでの経験や、今の思い、将来への希望や提言など、大学の授業や講演会、イベント等を通じて、活動をしています。実際に話しをする場面では、とても心地よく話しができたと感じたときもあれば、自分の思いがうまく伝わらないと感じたこともあります。それでも、スピーカーとして一人でも多くの方に本気で伝えたいという気持ちがあれば、伝わってうれしかったり、またがんばろうというモチベーションにもなるので、これからもがんばっていきたいと思います。今回、ファシリテーターという立場でしたが、逆に一人ひとりの皆さんに元気をもらい、気が引き締まった思いです。
最後に、スピーカー研修という一緒の時間を共有することができた参加者の皆さん、及びスタッフの皆さん、ありがとうございました。これをご縁に、また新しいつながりができればよいと思います。ありがとうございました。




平成21年度「NGO指導者」研修会参加報告

はやっち

去る平成22年2月27日〜28日に行われた財団法人エイズ予防財団が主催する「NGO指導者」研修会に参加したので報告します。
当日は、通訳研修も同時に行われ、午前は、「HIVの疫学・診療の実際」〜予防と早期発見が命を救う〜と題し、国立国際医療センター戸山病院ACCから西島健先生から、医療についての基礎講義が行われました。午後からNGO指導者研修と通訳研修に分かれて、NGO指導者研修がスタートしました。
1日目のワークショップは、活動を振り返り「自分たちの団体を見直してみましょう」(講師・青木美由紀氏 シェア=国際保険協力市民の会)と題し、それぞれの団体を維持するために必要なこととして、メンバーがオーナーシップをもち、組織の持つ目的「理念(VISION):実現したいこと」、「使命(MISSON):組織の役割や存在意義」、「価値(VALUE):行動の判断基準」を明確化しながら、組織が維持されていくことについて確認することで作業を行いました。
私たちNPO法人りょうちゃんずの理念は、AIDS患者やHIV陽性者が自らのニーズに応じたケアサポートを自らの手で行うこと、HIV陽性者に誰もなって欲しくない、HIV陽性者になっても当たり前に幸せに生きられる社会を目指しています。使命は、理念を達成するための活動として、ピア電話相談、講演等啓発活動、検査支援活動、性行動変容に関する研究などあり、価値は、行動基準としてレシピエントセンターに徹しています。日々の活動で理解していることでも、理念、使命、価値を改めて確認し、振り返るいい機会となりました。
2日目は、「資金調達スキルを高めよう!」(講師・長浜洋二氏 富士通株式会社)では、具体的に資金調達に何をすべきかを学びました。日本では、寄付をする文化がまだまだ不足していると言われていますが、それでも災害被害や人のために使って下さいという気持ちを持つ方や、人知れず支援している方はたくさんいると思います。その中でどのように判断し寄付や支援をするのかを考えたときに、前日確認した組織の理念や使命、価値が重要になります。また、理念や使命、価値をいかにわかりやすく伝え、理解と協力を得るということは、日々の努力に返ってくることを再確認できました。
私たちは、昨年6月に広島県からNPO法人認可を受け、これからは自らの問題だけではなく、社会に対する責任も増えてきました。日々の活動が重要であり、自分たちの役割や存在意義を明確し、活動の充実が結果として、資金調達にもつながると信じてがんばっていきたいと思いました。
最後に、この研修への参加者は、全国から集まっており、情報収集や意見交換をさせていただきました。このネットワークを今後の活動にもつなげていきたいと思いました。このような機会をいただいた財団法人エイズ予防財団の皆さんや、一緒に研修に参加者皆さんにも感謝いたします。ありがとうございました。




特定非営利活動法人りょうちゃんず 設立記念集会ご報告と参加御礼

先日はご多忙のところ、特定非営利活動法人りょうちゃんずの設立記念集会においでくださり、また、会費、寄附、祝電等のご支援を頂き、誠にありがとうございます。
おかげさまで、50人弱の参加をいただきました。私は人との約束を出来る限り果たすことを出会ったひとから頂いたパワーで実践してきたつもりです。
今回多数の参加者、応援者の皆様がたから、新たなパワーいただいた気持ちです。又、ご講演頂いた藤井輝久先生、山西美明先生には、その、専門性にとどまらず、りょうちゃんずの今後の活動へのアドバイスとエール頂きました。
今後は、集会でも、確約しましたように、社会性のある活動、具体的には、HIV陽性患者様への支援、陽性患者様の権利確保、HIV予防の活動に行うことにより、HIVに感染しない、HIV感染しても当たり前に生きられる社会へ向けて、貢献したいと思います。

今後とも、皆様の暖かいご支援とご尽力を賜りますよう、宜しくお願い致します。

今後の活動
・ HIV陽性者向け相談の継続実施。
・ HIV感染を悩んでおられる方向け相談実施。
・ 上記相談についての24時間対応(4月から)
・ 検査イベント継続実施に向けた取り組み
・ 講演活動
・ ホームページ、パンフレット等広報の充実
・ 財)エイズ予防財団との合同研修企画・実施
・ その他これに関わる活動の実施
                    以上

                                         平成22年2月15日
                                 特定非営利活動法人りょうちゃんず
                                         理事長 藤原良次
                                         役員・事務局一同


第23回日本エイズ学会学術集会参加報告

りょうさん

この度、平成21年11月26日(木)から28日(土)に、名古屋国際会議場で行われた。第23回日本エイズ学会学術集会・総会に参加しましたのでご報告いたします。
今回の座長は名古屋市立大学大学院看護学研究科市川誠一先生でした。テーマは「HIV/AIDS:その予防とケアへの協働〜パートナーシップ、ネットワーク、コミュニティ〜」であり、基礎、臨床研究、社会学各領域の研究者間や地域社会、行政等様々なパートナーシップとネットワークを推進し、HIV/AIDSの研究の促進と共に、地域の人々へのHIV/AIDSの啓発普及の機会となることを目的として開催されました。
具体的には、イベントホールでの企業、関係団体、NGOの展示ブース、休憩スペースの充実、シンポジウムの開催と工夫をこらしてありました。
私自身の参加の目的の一番はなんといっても、参加者とのコミュニケーションづくりです。今回のりょうちゃんず主催の食事会にはりょうちゃんずメンバーに加え、患者さん、根岸クリニックの根岸先生と看護、事務スタッフ、日本赤十字社職員、聞き取り調査研究者メンバー、広大病院MSWとたくさんの人が参加して頂きました。ごちゃ混ぜ精神をご理解いただき楽しいひと時を提供することが出来ました。
イベントホールでも、日頃は会えない人との時間もあり、さながら、同窓会のようでもありました。イベントホールでは初のシンポジウム「HIVエイズと生きる−1995年そのときのエイズを思う」と題しまして、ブブさんと一緒に1995年を振返り、性の問題に切り口をいれることが出来ました。個人的には、医療や、就労、人間関係も重要ですが、個人の性行為を度外した人生はないと考えますが、性的指向や感染源としての性行為は話題におのぼり増したが、個人の性と向き合えるセッションははじめてだったと思います。もう少し、工夫を凝らしたシンポジウムできればよいと思いました。また、このことが相談できる場所をつくることも重要だと思います。
セッションとシンポジウムですが、「HIVは本当に慢性になったのか」について報告いたします。シンポジストの慢性疾患のイメージがまちまちであり、やややりとのぎこちなさがあったように思いますが、シンポジウム企画者の狙いかも知れません。私の結論から言うと、個人的な考えですが、HIV感染症を病気と見た場合、発症を遅らせる治療薬があり、根治治療薬はないのですから、飲み続けられれば、慢性疾患であると思いますが、重篤な副作用の出現、今後の福祉の後退等不確実なものを加味すると、楽な慢性疾患ではないといえると思います。さらに、性感染症と見た場合、差別や排除の対象になるのですから、支援者の得にくい厄介な病といえると思います。
血液製剤で感染した、わたしとしては、血友病にもう1つ、命に別状があり、言いにくい慢性疾患が1つ増えたと思っています。
もう一つはHIV陽性患者の肝移植―米国における現状と問題点とセッション報告です。 症例の多い米国でも、HIV、HCV重複感染患者の3年の生存率を考えると日本でも肝移植はまだまだのようですが、座長兼松隆之長崎大学教授の「何もしなかったら半月でしぬ」を、どう考えるかを自分の体調、支援の両側から考える良い機会となりました。
もう1つ、インテグラーゼ阻害薬と治療実績報告をします。
今までの治療薬が聞いていた人の変更後のデータが良いことから、今までにない組み合わせの可能性と違う組み合わせの温存が可能であることが発表されていました。これは、治療成績の良い状態を長く維持でき、変更薬を有効に使用できるという非常に喜ばしいいことではありますが、サルベージ段階の患者さんには内服薬が変わっても現実と向き合うことにはかわらないこととなりました。
陽性者支援のセッションではぷれいす東京の発表ではピア・カウンセラーへの配慮の重要性に気づくことができました。りょうちゃんず相談事業においても、スーパーバイザーを加えたピア・カウンセラー同士のケース検討も羅溜めて開催する必要性を十分認識することが出来ました。
医療や看護、カウンセラーの方のセッションもありましたが、残念ながら参加していません。
 最後に全国陽性者ミーティングに参加しました。個々では、感染経路や地域、自分の状態を超え、HIV陽性者との交流が活発に行われました。私自身も、懐かしい顔や初参加の方との交流を再度ふかめることが出来ました。
 今回座長と市川誠一先生とプログラム委員の先生方、スタッフの真摯な対応に感謝いたします。蛇足ですが、会計監査が無事勤まるかどうかどきどきしています。

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しーちゃん

この度、平成21年11月26日(木)から28日(土)に渡る3日間、第23回日本エイズ学会学術集会・総会に参加しましたのでご報告いたします。場所はJR名古屋駅から車で20分程の所にある名古屋国際会議場で行われました。
今回は名古屋市立大学大学院看護学研究科の市川誠一先生を座長として、「HIV/AIDS:その予防とケアへの協働〜パートナーシップ、ネットワーク、コミュニティ〜」をテーマに、基礎研究、臨床研究、社会医学の各領域の研究者のパートナーシップとネットワーク、そして地域社会における様々な関係機関のパートナーシップとネットワークを推進し、HIV/AIDSの研究の促進と共に、地域の人々へのHIV/AIDSの啓発普及の機会となることを目的として開催されました。

初日はカウンセリングに関するセッションに参加しました。
最近のHIV包括医療において、HIVカウンセリングはかかせないものとなってきていますが、それをもっとうまく活用するためには医療者がいかにカウンセラーと連携するかに掛かっています。しかし、医療者の半以上がカウンセリングに対して「患者が求めない」、「勧め方がわからない」、「カウンセリングの支援内容がわからない」などの課題を持っているとの事。その対策として、医療者を対象にワークショップ型介入により、情報提供やカウンセリング効果を患者へ伝えることなどが挙げられている。
カウンセリングを受けること事態に抵抗を持っている人も多いと聞きます。見ず知らずの人間に何も話すことはないと思っている方は多いと思いますが、誰かに話をすることで、知らず知らずのうちに頭の中の棚が整理され、不安やストレスが緩和することも私個人的に経験しています。
二日目は「HIVは本当に慢性になったのか?〜長期療養時代の陽性者支援の課題〜」というシンポジウムに参加しました。
HAART療法から十年、HIV感染症が慢性疾患と医療者の間で語られるようになりましたが、HIV陽性者としては非常に違和感を覚えることも多いのは事実です。長期間100%近い服薬率が必要なこと、その長期服薬による副作用、老後の介護支援施設の問題、医療や支援整備の地域格差等問題が山積しています。
国立国際医療センター戸山病院の潟永医師によると、「慢性疾患」という言葉は医療者が使うには非常に便利な言語とのこと。感染告知をしたばかりの患者のショックを和らげるために、戦略的に使用してきたが、本当はもっと深刻な病気なのにある意味「嘘」を患者に伝えてしまったと語っている。今後は、飲み合わせや個々人の体質等を重視し、良い治療薬を選んでいくことが自分の使命であるとのことでした。
東京都の感染症対策課大井氏によると、治療法の進歩により、HIV陽性者の外来診療者が10年前と比較して3倍になり、外来診療の重要性から、今後は地域の診療所の役割りの重要性を語っている。今後は必要な所に必要な支援を向けることが出来るようにしたいとのこと。
LIFE東海の真野氏は、新薬が開発されても、10年、20年と飲み続けて時の副作用や一般社会で理解されないこと等精神的悩みや社会問題が多く、これらを解決しない限り「慢性疾患」になったとはいえないとのこと。
JaNP+の長谷川氏は、「慢性疾患」はHAART開始以降にできた言葉で、96、97年に診療拒否が多かった時代にはなかったとのこと。
ショックを和らげるつもりの「慢性疾患」いう言葉に、逆に患者側に楽観が生まれ、治療を続ける中で、副作用等様々な問題に直面した時にHIVという病気を安易に考え、事実を受け止められない現実があり、今後考えなくてはならない問題であると苦慮されていた。
国立病院機構大阪医療センターのソーシャルワーカー岡本氏は、他の慢性疾患の患者へは回復期リハビリテーション病棟や医療療養型病床、緩和ケア病棟での入院療養や在宅、施設での療養生活等の選択肢があるが、「HIV」という病名を理由に「慢性疾患」の患者としてサービスを利用できない現実がある。また、地域の行政の担当者が変わると更に受け入れに支障があることも苦慮されていた。今後は、HIV陽性者が年老いても笑って生活できるよう貢献したいと語っていた。
最後に、社会福祉法人はばたき福祉事業団の大平氏は、HIVとは免疫機能障害という身体障害者といハンディが希薄になってきているとのこと。根治がなく、副作用と向き合いながら、でも服薬中断すると発症・死と背中合わせの病気であること、社会的偏見により、日常生活や就労で抑圧的なものに強いられている。これを解決するためには、大きな社会的支援も大切だが、患者自身が支援に対して感謝とハンディの自覚を持つことが大切と語っている。そして、自分たちが生きていく為に何が必要かを常に考えることが重要とのことでした。

三日目は、「陽性者支援」のセッションで自分が初めて「りょうちゃんず相談事業」の発表しました。陽性者の陽性者による陽性者のための支援。これからも相談者の方々がりょうちゃんずを利用してよかったと思っていただけるよう日々精進致します。
HIV感染対策におけるパートナーシップ−自治体とNGOの協働−のシンポジウムでは、HIV/AIDS患者が年々増加傾向にあるにもかかわらず、地方の各自治体では予算の削減、人員の削減が相次ぎ、インフルエンザ対策の影響でHIV抗体検査相談事業が頓挫したところも発生し、問題点が多いとのこと。そこで、NGOと連携して施策に取組んでいる自治体からの発表がありました。
「当事者のことは当事者でないとわからない」といことで、広報用ポスターや啓発用パンフレットの作成から当事者を招いての研修会等に取組んでいるとの事。また、NGOとの協働を続けるには、お互いに顔を合わせての情報交換やコニュニケーションが必要なこと、そして、自治体の担当者が変わる度に、協働に対する当初の趣旨が希薄になる為、過去に取組んだ経緯をしっかり把握して、今できる協働連携の方法を検討することも重要とのことでした。
また、地方都市ではコミュニティに地元出身者がしめるため、目立つ活動ができないことや行政や医療、他のNGO等のサポート組織との連携もとぼしく、プライバシー等の問題でNGO事態の発展しずらい環境にあるため、今後は地方のNGOの発展のための施策が課題とのことでした。
最後に、今回初の学会発表デビューでしたが、言われた時は色々悩んだりしましたが、仲間に支えられ、結果はともあれ、良い人生経験が出来たと思っています。感謝です。また、久々にお会いした方々とお互いになつかしがったり、元気を確認したり、お話しはできなかったけど、遠くから、ああ、お元気だなと思ったり、エイズ学会は自分としては勉強の場であることは言うまでもなく、同窓会的なところもあるかなとも思っています。
今回お会いした方々に改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。次回もまた元気にお会いしましょう。

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はやっち

去る平成21年11月26日(木)から28日(土)に名古屋国際会議場で行われた第23回日本エイズ学会(大会テーマ「HIV/AIDS:予防とケアへの協働」)に参加しましたので報告いたします。

初日:特別講演「HIV陽性患者の肝移植―米国における現状と問題点」(コロンビア大学外科加藤友朗氏)と、サテライトシンポジウム「HIV合併症対策について」においても「血液製剤によるHIV/HCV重複感染患者への肝移植」(長崎大学移植・消化器外科教授兼松隆之)があったため、肝移植について考える機会となりました。
治療成績については、米国では年間6000件以上、日本では500件以上行われ、5年生存率が75%と日米に大きな差異はありませんでした。ただ、ドナーについては、米国は脳死肝移植が普及しており、日本では生体肝移植が99%というところが大きく違いました。
手術後は、拒絶反応とHCVの再発が課題となり、ここにHIV陽性が加わると、免疫抑制剤の使用と抗HIV薬の相互作用による管理や、HCVが再発すると進行が早いと言われ、さらに血友病が加わることで止血管理まで加わり、難しい問題が多いようです。
私自身の問題として「移植しなければ半年、移植すれば免疫抑制剤の使用プラス抗HIV薬」となったとき、どう判断できるか、どう判断するか、考えさせられました。

二日目:シンポジウム「HIVは本当に慢性疾患になったのか?〜長期療養時代の陽性者支援の課題〜」
今回6名のシンポジストとして、医療は潟永氏(国立国際医療センター戸山病院・ACC)、行政は大井氏(東京都福祉健康局)、福祉は岡本氏(国立病院機構大阪医療センター)、陽性者は真野氏(LIFE東海)、長谷川氏(ジャンププラス)、大平氏(社会福祉法人はばたき福祉事業団)から報告があり、それぞれの立場から、HIVに対するそれぞれの取り組みを聞くことができました。
私が思うことは、HIVが慢性疾患になったと答えたいのですが、言い切れないのが正直なところです。確かに治療を取り上げれば、抗HIV薬により安定した状態が続けば、社会参加や今までどおりの生活を続けられると思います。それでも、長期・短期と副作用が起きるかもしれない不安や、性感染症であるために、人に感染させるリスクや、差別・偏見をうむ要素は続くからです。そのあたりが、一般的にいわれる糖尿病や高血圧症のようなものと違うように感じます。
それでも、今回のパネリストの皆さんのように、それぞれの役割を持って、医療現場では最善の治療を目指し、行政は体制整備、福祉の現場でも患者の状態にあわせて介護施設や長期療養施設の確保に努力されていることや、HIV陽性者自らが問題を提起しながら、取り組んでいけば、本当の意味でも慢性疾患に向かっていけると思います。

三日目:NPO法人りょうちゃんず主催による「HIV/エイズと共に生きる−1995年、そのときのエイズを思う」(イベントホール)、「陽性者支援」では「NPO法人りょうちゃんずにおけるピア相談事業からの考察」、「検査相談」のセッションでは「広島県におけるHIV検査イベントとNPO法人りょうちゃんずの役割についての考察」を発表しました。

私は「広島県におけるHIV検査イベントとNPO法人りょうちゃんずの役割についての考察」を担当しましたので報告いたします。これは平成21年6月6日(土)にNPO法人りょうちゃんずのメンバーと、行政、医師、看護師、心理士、検査技師、市民・学生ボランティアが一緒に行った迅速検査イベントを紹介し、多くの受検者(とくに初めて受検した方が多かった)に検査機会を、提供できたことを報告しました。
また、NPO法人りょうちゃんずが参加したことが、スタッフの方に対する私たちの活動を理解してもらい、広島でのネットワーク作りにもつながりました。今学会でも、HIV抗体検査について、迅速検査か通常検査か、検査の評価、行政とNGOの役割、連携など様々な議論がされていましたが、地域の特色をもったやり方を今後もアピールしていきたいと思います。

イベントホールでは「HIV/エイズと共に生きる−1995年、そのときのエイズを思う」(NPO法人りょうちゃんず主催)を行い、藤原理事長と桃河モモコさんがトークイベントを行いました。藤原理事長自身のお話しや、桃河さんの友人で1995年に亡くなったFさんの話題と1995年当時のお話しやHIVとの関わり、そしてHIV陽性者の性についての話題について話し合いました。
性の話題については、あまり語りたくない、話せないなどネガティブなイメージが先行しがちですが、HIVが性感染症である以上、避けて通れない話題であり、病気のコントロールと共に、性についても語ることは重要と思います。「愛があれば大丈夫」とよく聞きますが、本当の愛を語るのであれば、HIVや性について真剣に語る場面必要があると思いました。藤原理事長が取り組んでいる「ケースマネージメントプログラム(CMP)を用いたHIV陽性者支援及びHIV感染予防のための研究」でも、課題のひとつとしています。HIVをもっていても、幸せをめざすことは大切ですので、人とのかかわりや性的かかわりを大切できる機会を、今後も作っていきたいと思います。会場に多くの方にご参加いただき感謝を申し上げます。

「全国HIV陽性者交流会」に、初めて参加しました。真野さんを始めとしたLIFE東海のメンバー、また他団体に所属する皆さんや、いつも会える方、懐かしい方、初めての方と様々にお会いできて、うれしかったです。近況をお聞きしたり、自分のことを話したり、安心して話しすることができました。運営準備にあった皆さん、お疲れさまです。参加者の皆さんには、またお会いすることを楽しみにしています。ありがとうございました。

最後に、今回の学会長である市川誠一先生の配慮により参加証をいただき、またスカラシップ委員会の皆様に、ご支援いただきありがとうございました。また、学会でお会いした皆様、大変お世話になりました。いつかお会いできる日まで元気でいたいと思います。


財団法人エイズ予防財団「HIV検査相談」研修会(応用編)参加報告

のりさん

平成21年8月27日(木)〜28日(金)に日本教育会館で行われた「HIV検査相談」研修会(応用編)に参加しましたので報告いたします。

今回は、現在りょうちゃんずが取り組んでいる判定保留者への電話相談や検査相談電話及び行政とのコラボレーションによる検査イベント等へ活かすために、最新のHIV医療や検査の動向などから始まり、今現在HIV検査を行われている方々による発表や、陽性告知(判定保留者も含む)時を想定したグループワークからなる2日間の研修でした。又、具体的な検査技術や検査体制の取り組み・相談対応の実際を知ることを目的に参加しました。また、全国各地から約40名、主に保健師さんをはじめ、看護師、検査技師、の方たちがほとんどでNPOから参加者は私一人でしたが、今後の活動に向けてネットワーク作りも目的のひとつでしたので懇親会も参加してきました。

内容については、応用編として「HIV医療の現状と課題」「検査の動向、現状と課題」、「検査相談のなかでの性の取り上げ方」「予防アプローチ」の講義と、陽性結果通知時の場面を想定したグループワーク等が、2日間の日程で行われました。

HIV医療の現状やグループワークの中に出てくる手法などでは、すでに現在の活動を通じた経験で得られた部分も多く、再認識できることができました。 初日に行われたグループワーク「性の多様性を考える」では性的指向の多様性はほとんど出ずに性別による社会的性の役割りが多く出されたのが印象的でした。

「検査相談の中での性の取り上げ方」の講義では検査前情報提供の重要性が語られ情報を提供する側もどんな風に受け止められるか不安であることが語られ、検査を受けに来た人も不安や迷いが強い人がいるので、その迷いを自ら言葉にしながら受け止めてもらう。その時相談される側は相手の話しやすさに留意し、言葉やジェスチャーを交えながら理解を深めてもらう事が大事だということであった。

2日目のグループワークでのロールプレイでは中立役をすることになり相談利用者、相談担当者それぞれの立場にたってロールプレイに参加しましたが、やはり判定保留者のセッションが色々な意味で難しいと思いました。

最後に、このような機会をいただいたエイズ予防財団に感謝しますと共に、ご一緒に参加できた皆様に感謝いたします。今後、どこかでコラボレーションできればいいと思いました